この区間は未だ歩いた事が無く一度は歩いてみたい区間だった。
車も二台あるのでそれぞれの登山口に車を置けば片道だけで済む事も挑戦した理由となった。
だが、二つの登山口まで続く道路は開通時間が設けられていて深夜は通行できないのがネックだったが、両方とも走れば問題解決。

ということで23時集合、0時発の約束で弟と立山町の最終コンビニで待ち合わせ。
しかし遺伝か性格かは知らないが両者時間にルーズで、集合が23時40分になってしまい、それから移動や準備をしていたら出発は0時30分になってしまった。

0時30分に立山ゲートをスタート。
約4km離れた八朗坂登山口まで低速でラン。
八郎坂到着後は鈴や笛を鳴らして熊に警戒しながら登る。
この区間は45分で通過。
その後はアルペンルートを走ったり歩いたりしながら室堂へ。
途中の雪の大谷にはまったく雪が無くてびっくりした。

室堂では玉殿の湧水を飲む予定だったが水が湧いてなくて残念だった。
一方、室堂で働いているTKDさんとも一部合流予定だったが居なかったので先へ進む。

一ノ越は4時19分に到着。
ここで弟は体力温存の為、雄山には登らずに先を進む。
自分は立山と薬師岳の両方に登ってこそ価値があると考えていたので迷わず雄山へ。
ガスの中、雄山を目指していると標高2900m辺りで雲海が抜けて快晴の空が迎えてくれた。
雄山の山頂では写真撮影やお祈りをして下山開始。
因みに、雲海より上は空気も澄んでいて、東の空も真っ赤に焼けていたが、御来光までの15分は時間の都合上待てなかった。

雄山からの下山中に後を追って来てくれたTKDさんと遭遇。
TKDさんからはクリフバーの差し入れを頂いた、ありがとうございました。 
TKDさんのブログはこちら

下山中に再び雲海に突入して一ノ越へ。
一ノ越からは、雄山に登らなかった弟を40分差で追走開始。

この先は特に急ぎもしなく普通に歩いていたら追いつくだろうと思っていたが、コースミスだけが心配で、もし室堂方面に行っていたらアウトだなと思っていた。
偶に携帯電話を掛けるがお互いdocomoにも係わらず繋がらない状況。
しかし、獅子岳の山頂付近で登山道上に弟からのメッセージが書いてあり一安心。
その後は偶に現れる景色を楽しみながらマイペースで追う。

そして五色ヶ原小屋を越えた辺りで遥か遠方に弟を発見。
徐々に差を縮めながら約150分振りに合流。
その後は二人で進む。

雄山と薬師岳の中間地点辺りに在る越中沢岳からは正面に立派な山が見えて「もしかしてあれが薬師岳?」「もし薬師岳なら遠くて嫌だな〜」等と会話していた。
実際その時点では薬師岳は見えていなくて「ただ遠いな〜」と嘆いていたが、数分後に西側に大きな山容が見え、その山こそが薬師岳と確定。
ということで最初に見た山は赤牛岳だと判明。

目指す薬師岳が目視出来たが、そこらは激しいアップダウンの繰り返しだった。
名称が不明な越中沢岳とスゴノ頭との鞍部、スゴノ頭、スゴ乗越、等。

ようやくたどり着いたスゴ乗越小屋ではチップ制の水を少し頂いて、薬師岳へと出発。
ここからは間山(2585m)、北薬師岳(2900m)を経由するが登りだけなので、アップダウンを繰り返すよりは気持ち的に楽だった。

その後は泥濘、草原、砂礫、沢状地形、岩場を越えて約10時間で北薬師岳に登頂。
それまでガスの中だったが、山頂からは薬師岳の全容が垣間見れて素晴らしいカール(圏谷)地形に圧倒された。
因みに薬師岳のカール地形は国の特別天然記念物に指定されているらしい。

北薬師岳からは80m程下って、最後140mの登り返しを越えて、開始から約10時間10分で薬師岳に登頂成功。
立山ゲートから人力のみでここまでこれて達成感は抜群だった。
スタート前に心配されていた午後からの激しい雷雨も起きる気配はなく、全てが良い感じに回っていた。
山頂では他の登山者と談笑しながら10分程大休止。

その後は薬師岳山荘、薬師峠、太郎兵衛平を経由して折立に向かうのみ。
弟は途中の薬師岳山荘で山岳価格の飲料を二本も買っていた。
自分は山小屋では買わずに薬師峠の沢水で充分に満たす事ができた。
このコースは水場が乏しいのでとてもありがたい水場だった。

太郎兵衛平では時間があればラーメンを食べても良かったが、14時発の最終便のバスに乗る為にラーメンはカット。
(当初は弟と二人で折立から有峰ゲートまでの20kmを走る予定だったが、弟は激しい下りの影響で左膝の腸脛靭帯を痛めたみたいで折立からバスに乗る事となった)

折立には13時35分に到着。
バスの時間には余裕で間に合い、弟はバスで有峰ゲートまで、自分は要らない荷物を弟に託して13時40分からランでゲートまで向かう。

20kmは長いが標高差約1000mのダウンヒルランなので体力作り&バス代節約(2300円)の観点からバスに乗る理由は無かった。

しかし、折立からランを開始して25分(約5.3km)を過ぎた辺りで前方の道路わきの茂みに黒い大きな影を確認。
最初は看板か何かの裏側かな?と思って近づいたが、ちょろちょろと動いている事を認識。
この時点で熊と確定。
「あ〜やっちまった〜」「どうしよう〜??」とうろうろしていたら数分後に前方からトラックが来てその事で熊は走って逃げて行った。
しかしまた熊は元居た場所に戻ってきてDNF(途中棄権)確定。
熊は臆病だと思っていたが、熊が居ると分かっている茂みの横2mにある道路を鈴を鳴らして生身で通過する事は流石に出来なかった。
その後は興奮状態のまま折立14時発のバスを武田鉄也までとはいかないが道路の真ん中で手を開いてバスを止め、乗せてもらう。
バス乗車後、熊が居る現場の横を通過する時、体長150cm級の熊はまだ茂みに居てバスに気付き逃げていった。
事情を知っていたバスの乗客も熊が見れて歓声を上げていた。
現場だけ通過したら下車して走る事も可能だったが、一度座ってお金を払った状態だと再び走る気も起こらず”不可抗力で仕方なかった”と自分自身に言い聞かせて有峰ゲートまで向かうしかなかった。

最後は動力を使ってしまったことで完全燃焼度は半減してしまったが、弟と無事に立山ゲート〜折立間の縦走、即ち、立山・薬師岳の日帰り縦走を達成する事が出来て大満足だった。
弟よ、長いルートだったがお疲れ様でした。

次はどこへいこうかな〜??

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