前日にYASUHIROさんと鍬崎山に行っていたので、山行終了後は車内で手袋やインナーブーツやウェア等を乾燥させながら帰宅。
帰宅後は即行で洗濯をして夕食を食べ、洗ったウェアをコインランドリーで乾燥させてから20時頃就寝。

スタート予定時刻は2時だったので逆算して0時に起床。
天ぷらうどんを食べ、準備をして1時に白馬の自宅を出発。
スタート地点の爺ヶ岳スキー場には1時45分に到着。
車中泊していた名人さんに挨拶をして最終準備。
そして予定通り深夜2時にスタート。

今回は前回の反省を活かし、アップダウンや藪の多い矢沢の左岸ではなく右岸を進み、その先に在る林道を目指して進む。
林道にはスタートから40分程で合流。
その後は林道を進み最終堰堤へ。

最終堰堤を越えたら5m程カニ歩きで下り矢沢の川床へ。
しかし水は豊富で「いつになったらこの水が消えるのか?」と不安になりながら進む。

どんどん進むと渡渉せざるを得ない状況になり板を外して渡渉。
暫く雪の島を壺足で歩き、再び対岸へ渡渉。
その後は右岸をひたすら進む。

すると右岸の側面から水が豊富に湧き出ているポイントがありその個所を上から通過。
その後は水は完全に消え、広い矢沢を自由自在に歩けるようになる。

スタートから2時間半程経ち標高1400m越えた辺りからデブリ地帯に遭遇。
恐らく先日の雨の時に起きたデブリだと思うが、その上に新雪が20cm積もっていたので歩くにはまだマシな部類のデブリだった。

予定では地形図上1496mのポイントから尾根に取り付く予定だったが、デブリの影響と想像していたよりも急な斜面だった事で尾根に取り付けず仕方なく矢沢を進む。
どこかで取り付くポイントが無いかヘッドライトで照らすがなかなか見つからない。
そうこうしているうちに標高1550m付近まで到達。
ここまで来ると流石にヤバくなり前回の挑戦時に登った尾根まで戻る選択肢も名人さんが示唆し始めたが、戻るのも嫌だったので「アイゼンで斜面を登りましょう」と提案。
ということで板を外しアイゼンを装着してダブルアックスとアイゼンの前刃だけで傾斜角50℃に迫る急斜面を登る。
この斜面で明るくなってきて、目標の尾根(白沢天狗尾根の枝尾根)に登りきった頃には周辺をライト無しで見渡せるくらい明るくなっていた。

その後は尾根を滑落しない程度にギリギリの感じで難儀しながら進み、標高2020m付近でようやく白沢天狗尾根と合流。

合流後は前回も歩いた尾根なので前回と同じ様なルートで進む。
しかし前回とは明らかに違う部分があった。
それは天候だった、前回は白い空に一瞬雪山が見える程度だったが、今回は雲一つない快晴で真っ青な空には、遠く富士山から槍ヶ岳、蓮華岳、針ノ木岳等が丸見えだった。

その後は掲載画像の通り素晴らしい景色を楽しみながらどんどん標高を上げる。
そして目の前に爺ヶ岳本峰(中峰)を確認。
前回ミスした南峰も綺麗に見えていたが、今回は南峰ではなく本峰に登る為の挑戦なので本峰だけを目指して進む。

標高2500mを越えると雪面に氷も出てきたのでシールでは歩行困難となり、アイゼンに履き替える。
そしてアイゼン歩行を20分程行い遂に念願の爺ヶ岳本峰(中峰)に到達。
厳冬期に見事リベンジを達成できて最高の気分だった。
更に快晴なので360度の大パノラマが広がっていてテンションもMAX状態。
山頂に到着して数分はザックを下ろす事も忘れて興奮状態のまま写真を撮りまくっていた。

結局山頂では40分程滞在して滑降開始。
登りでアイゼン歩行した斜面も板を履けば問題なし。

パウダー&クラスト斜面をお互いに写真を取り合いながらどんどん標高を下げる。
一気に下る場面もあれば、東側にトラバース気味に進む事もあり、約1時間で2200m付近の矢沢源頭部へ。
ここでは矢沢を滑るか?それとも無難に往路と同じルートで帰るか?またまた前回激パウだった尾根まで(登り返して)進むか?の判断に迫られた。
名人さんは「矢沢の下が見えてないから微妙だね、デブリとかあったら大変だよ」と消極的な印象もあったが、僕としては(悩んだ挙句)このままアップダウンの尾根を低速で歩いて疲れるよりも、矢沢を一気に下りましょう」的な考えだった。
最終的には名人さんに質問した回答で「地形図的には滑降出来る」と言われたので滑降を決意。

そして矢沢の源頭部から滑降開始。
この判断は大正解だった。
雪質は日中陽が当たっていた北側はモナカ雪だったが、陽の当たっていない南側はパウダーが残っていて最高だった。
ここでもお互いに写真を撮り合いながらどんどん滑る。
途中デブリ帯や激しいモナカ雪などあったが、距離約2km、標高差で700m程の矢沢を1時間掛けてゆっくり滑り、1496m付近で無事に往路のトレースに合流。

その後はトレース通りに進み、最終堰堤を越え、林道に合流して高速道路状態の締った雪面を一気に下ってスタート地点の爺ヶ岳スキー場駐車場に無事帰還する事が出来た。

総括として、今回の山行は最高だった。
見事に前回のリベンジを果たせたし、天候も終始快晴で素晴らしい景色を見れたし、滑降も山頂から一切登り返しもなくストレスフリーで下れたのでとにかく最高だった。
前日の鍬崎山ような激パウも良いけど、今回のような”滑りはそこまで最高ではないが天候が素晴らしい山行”もやっぱり最高だと思った。
今回リベンジを果たせた事でもう三度と行く事は無いと思うが、無事に達成できて本当に良かったと思う。

最後になりましたが前回と今回と一緒に登ってくれた名人さん、本当にありがとうございました。
厳冬期爺ヶ岳日帰り山スキー、完全燃焼です。

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