大魔人さんと厳冬期の四塚山経由で百四丈滝へ行ってきた。
当初は諸事情により行く事自体を躊躇していたが、日に日に好天する天気予報と前日の状況で行く事を決意。
金曜日の仕事を終え、帰宅後恵方巻きの夕食を食べる、その後甥っ子達と節分の豆まきをしてから準備して一里野温泉スキー場へ。
今回は大魔人さんと0時スタートの予定だったので23時30分に現地に到着。
現地では出発準備をして定刻の0時00分にスキー場からスタート。
綺麗に圧雪された斜面を大魔人さんと共に登っていく。
途中で結構な急斜面もあったのでクトーを駆使して45分程でゲレンデトップへ。
そこからは加賀禅定道を進む。
前日のトレースがあったのでありがたく利用させてもらう。
60分程先頭で進んでいると、いつの間にかトレースは消えていた。
口長倉山は巻くので1400m辺りからトラバースルートへ、このタイミングで大魔人さんと先頭を交代。
交代後は大魔人さんの後ろをついて行ったが、シールと板の間に雪が侵入していたのでシールを貼り直す。
貼り直し作業は僅かな時間だったと思うが、大魔人さんはペースが速くてだいぶ先に進んでいた。
なかなか追いつけないまま進んでいると、急な斜面に差し掛かる。
そこには厄介な太い樹木が生えていて、大魔人さんは一段上げて進んでいた。
自分も同じように進もうとしたが、掴んだ枝が折れてしまい体勢を崩して1m程滑落。
たかが1mの滑落だったが、柔らかい雪は全て下に落ちていて斜面はアイスバーン、更に下は急な谷になっていてこれ以上落ちるとヤバい状況。
さてどうするか?としばらく考えていたが、この状況でクトー装着は不可、板を外しても板を流したらアウトでなかなか良い案が思いつかない。
結局は板のままなんとか体勢を立て直してゆっくりゆっくりエッジを利用して戻る事が出来た。
その後、なんとか別ルートで樹木の個所を通過してトレースに合流。
大魔人さんは遥か先に進んでいたのでひたすら追う。
しかし結局90分近く追いつけなくて、ようやく奥長倉避難小屋で合流する事が出来た。
小屋内で小休止後、難所でもある美女坂へ。
大魔人さん曰く「この辺りで明るくなっているはずだったが、今回はペースが速くてまだ暗いから様子を見ながら慎重に進もう」との事だった。
美女坂は大魔人さんの指示を受けながら自分が先頭で進む。
この時はなるべく柔らかい雪質の所を進む事と雪庇には注意する事を意識していた。
そして7時頃に美女坂の頭を制して、広くて緩やかな通称「台地」に到達。
しかし残念なことに濃いガスに覆われていて視界は無い。
「まぁいつか晴れるだろう」と思い、進んでいると空が明るくなってきた。
そして一気にガスを抜けて快晴の天候へ。
最初から快晴というのは勿論良いが、今回の様に最初は曇りやガスで、その後劇的に回復するのは最も感動が大きくなるパターンだと思う。
台地を暫く進んでいると、あるポイントから今回の目的地の百四丈滝の目視に成功。
当初の計画ではこのまま滝壺まで滑り、滝壺を観賞後、登り返して四塚山へ向かう予定だったが、
現在の状況では滑り下りて標高を下げる事でガスの影響をモロに受け綺麗な写真が撮れないという事で、急遽予定を変更して先に四塚山へ向かう事にした。
そうと決まれば四塚山へ向かうのみ。
天候は雲海でずっと快晴だったのでハイテンションのまま進む。
アップダウンこそあったが、特に危険な個所も無く天池から約2時間程で四塚山へ登頂。
山頂からは特に北アルプスの眺望が見事だった。
滑走準備をしながらエネルギーも補給して、いざ滑走へ。
雪質はパウダーあり、アイスバーンあり、シュカブラありで変化にとんでいたが転倒する事も無く大魔人さんとお互いに写真を撮りながら進む。
山頂(2519m)から2080m付近まで滑りこんで、このポイントでシールを貼り直して天池まで登り返す。
約60分弱のシール歩行後、天池大斜面の上部に到達して滑降準備開始。
一番手は大魔人さんが雪崩のリスクがあるか見極める為に斜滑降で進入。
その様子を見て雪崩の可能性が低い事が判ったので、本日一番の激パウ大斜面をお互いに写真を撮りながら思い思いに滑りまくる。
この滑降は時間にして僅か10分程だったが、正にマンダム級で最高に気持ち良い滑降となった。
そしていよいよ本日のメインイベント「百四丈滝の滝壺」へ向かう。
滝壺は掲載画像の通り「素晴らしい」の一言だった。
以前から憧れていた場所だったので生で見れた事、そしてこの場所に自分が居る事が嬉しくて最高の気分だった。
滝壺へはアイゼンを装着して上部へ登る。
滝壺の中は深い穴になっている予想だったが、意外にも浅めで底が見えていたにびはビックリだった。
さて、楽しい時間もあっという間で再び滑ってきた斜面を登り返さなくてはいけない。
この登りは最初の標高差20mぐらいは大魔人さんが先頭でラッセルしてくれたが、追いついてからは稜線までハイスピードで全てルート工作。
驚いた事に単独の後続の方も居たので、追いつかれないように必死でまともに休憩もせずにどんどん進む。
(単独の方は百四丈滝を遠望しに来たが我々のシュプールがあったので滑ってきたらしい)
結局、稜線には40分程で登りきったが、この登りで体力を使いきって体は悲鳴を上げていた。
滑降準備をしながら小休止してエネルギー補給。
そこから緩い斜面を滑って、急斜面の始まりでもある美女坂の頭へ。
美女坂は急斜面で雪質もカリカリで雪庇も危険で、緊張感のある滑降となったが、なんとか滑り下り、奥長倉山との鞍部で再びシールを貼って登り返す。
この辺りから大魔人さんのスピードに付いていけなくて遅れ気味になる。
「待っていてほしいな〜」と思いつつもどんどん差は開いて行く。
それでも進むしかないので必死に追いかける。
奥長倉山を越えて幾つものポコを越えて、口長倉山の巻き道でシールを剥がしトラバースルートへ。
往路で苦労した移動も復路は下り基調なのでスイスイ進む。
ただ、足はかなり疲労が溜まっているので斜度が無い所などは時間が掛かってしまった。
ようやく辿りついたハライ谷上部では大魔人さんが待っていてくれて、合流後直ぐにハライ谷の滑降開始。
折角追いついたので置いて行かれないように必死に追いかけるが体力と技術の差でどんどん差は開き、またもや先に行かれてしまう。
雪質は重めの雪に変わっていたが、なるべく標高を落とさずに谷の底を滑らないでトラバース気味に進む。
20分程滑ってようやく林道に合流。
既に大魔人さんは林道へ進んでいて後を追う。
そして除雪された車道に合流して、あとは一里野温泉スキー場へ。
約15時間振りに訪れたスキー場は多くの人達で賑わっていた。
その中を「僕は皆と違う場所へ行って最高の体験をしてきたんだ」という優越感に浸りながら駐車場まで滑っていった。
駐車場では既に大魔人さんは後片付けをしていた。
大魔人さんに「まだ余裕ですか?」と尋ねると「全然余裕だよ」との返答で、改めてレベルの違いを実感する事となった。。。
今回の山行は後半は疲労困憊だったが、それ以上に最高の体験だった。
以前から憧れていた白山の幻の滝「百四丈滝」の氷の滝壺に行けた事はこれ以上ないくらいの達成感だった。
単独では絶対に無理だったが、今回大魔人さんに誘われた事で見事に完遂する事が出来た。
大魔人さんには遅れた姿を見せてしまって申し訳ない思いがあるが、誘ってくれた事は感謝でしかない。
大魔人さん、本当にありがとうございました。
今回は完全に完全燃焼です。
追伸 この時の滝壺の画像は2月7日付けの北國新聞朝刊に名前付きで掲載されて多くの反響があった。
追伸 これに関しても投稿してくれた大魔人さんに感謝しかない!